月末に、自社のエクセルで「先月末在庫+今月の納品数-出荷数」を計算します。その数字がAmazonの月末在庫と、たまに合わない月があります。毎月ではなく、たまにしか起きないため、原因の分からない差が残ります。筆者にとって、在庫の月末の数字がずれていた瞬間は、かなり憂鬱でした。
筆者の場合、差の原因は数え間違いではなく、Amazon側の在庫の状態でした。今のところ把握しているのは、紛失・発見・倉庫間移動中・顧客返品の4つです。
FBAの在庫元帳をもとにエクセルで計算式を組めば、月末在庫を照合できます。紛失中の在庫は、筆者は「ある」扱いのまま持ち、補填などの処理がされた時点で「なし」にしています。
この記事が扱うのは、FBAに預けた在庫の月末の数字だけです。自社倉庫とFBAを併用したときに在庫の定義がずれる構造は、在庫が合わない原因を、定義と情報共有の面から書いた記事に任せます。FBAに寄せる判断や手数料は、FBAに寄せて在庫管理がどう楽になるか、その条件を書いた記事にあります。
月末在庫の差は、数え間違いだけではない
自社の式とAmazonの在庫を同じSKUで並べる
照合の出発点は自社側の式で、先月末在庫に今月の納品数を足し、出荷数を引いた結果を、Amazonの月末在庫と同じSKUで並べます。
ここで毎月一致していれば、照合は要りません。困るのは、たまに合わない月があることです。
数え間違いの先にある原因
数え間違いを潰しても差が残るなら、次に疑うのはAmazon側の在庫の状態です。
次の節で、何が差を作るのかを書きます。
筆者が把握している4つの在庫状態
筆者が今把握している差の原因は、紛失・発見・倉庫間移動中・顧客返品の4つです。この4つは筆者の経験の範囲で、Amazonの公式の分類ではありません。ほかにも原因がある可能性があり、この4つがすべてだとは言えません。
紛失
筆者の経験では、Amazonの在庫の状況に「紛失」があり、Amazonが在庫を紛失した状態を指します。数か月後に補填されることもあれば、発見されることもあります。補填を待つ場合も、申請が要るかどうかと期限は、公式ヘルプで確認してください。
発見
紛失中とされていた在庫が、あとから見つかる動きです。筆者の経験では、見つかるまでに数か月かかることがあります。
倉庫間移動中
倉庫間を移動している最中の在庫も、月末の数字に差を出す原因として把握しています。自社倉庫とFBAを併用している場合に、送った在庫がどちらの数字にも入らずに浮く仕組みは、自社倉庫とFBAを併用したときの在庫のずれを扱った記事で書いています。
顧客返品
お客様から返品された商品も、月末の数字に差を出す原因のひとつです。FBA倉庫での返品の扱いは、倉庫間移動中の項で挙げた記事にも書いています。
自社の式に入っていない動き
自社の式が見ているのは、納品と出荷だけです。一方、在庫元帳には、筆者が把握している4つ以外の動きも出てきます。どんな動きが並ぶかは、次の節で出典つきで示します。
在庫元帳と自社の式で、差のSKUを絞る
在庫元帳について、Amazonの公式のAPIドキュメント(2022年1月時点の版)は、「在庫の銀行明細のようなもの」(筆者訳。原文は "like a "bank statement" of your inventory")と説明しています。通帳が預金の残高を入出金の履歴で説明するように、在庫の残高を、動きの履歴で説明するレポートということです。
同じドキュメントでは、概要表示に、期初の残高、受領した在庫、顧客の注文、顧客からの返品、調整、返送や処分(removals)、期末の残高が並ぶとされています。詳細表示は、売れた、返品された、取り出された・廃棄された、破損した、紛失した、見つかった、といった動きを追うためのものとされています(いずれも筆者訳)。筆者が把握している4つに当たらない動きも、ここには含まれます。
ただし、これは2022年版のAPI向けの説明です。日本のセラーセントラルの画面での現行の名称や並びは、未確認です。
出典:Amazon Selling Partner API ドキュメント「Report Type Values」(amzn/selling-partner-api-docs の2022年1月4日時点の版)の Inventory Ledger Report の Summary View と Detailed View の説明/2026年10月1日確認。
在庫元帳を使う照合の組み立て例を示します。これはこの記事の提案であり、筆者の運用の説明ではありません。
- FBAの在庫元帳を、月末を含む期間で出します。
- エクセルに貼り、自社の式の結果と同じSKUで並べます。
- 差が出たSKUだけを絞り込みます。
- 絞ったSKUの動きを、紛失・発見・倉庫間移動中・顧客返品のどれに当たるかで仕分けます。
紛失中は「ある」、補填が出たら「なし」
ここで書く、紛失中の在庫を「ある」で持つ運用は、筆者の運用です。会計上どう扱うのが正しいかは、この記事では断定しません。
紛失中の在庫を数えるかどうかも、何を1個として数えるかを先に決めておく考え方のひとつで、自社で決めておく項目です。
在庫がどうしても合わない部分が、Amazonの在庫の状況にある「紛失」でした。つまり、Amazonが紛失してしまったということです。これは数か月後に商品代金が補填されるかもしれませんし、数か月後に発見されるかもしれません。
このような場合、筆者の店ではその在庫が「ない」という扱いではなく、普通に「ある」という扱いをしています。そして、補填なりの処理がされたタイミングで「なし」の扱いにしています。一見理不尽に思える、不可抗力的な事象が、たまに発生します。
紛失中は「ある」のまま持つ
紛失中の在庫を「ある」で持つのは、帳簿の数の話です。出品できる数として数えるかどうかは別で、複数のチャネルで売っている場合は、紛失中の分を売れる在庫に含めると売り越しにつながりえます。
毎月の記録と、当てはまらないケース
月末に見る数字と、残しておく数字
ここから先は筆者の運用ではなく、この記事の提案です。毎月、次の数字を同じ形で残すと、前月と並べて比べられます。
- 差が出たSKUの数
- 差の個数の合計
- 差を4つの状態に仕分けた内訳
- 仕分けられなかった差の個数
- 紛失中として「ある」のまま持ち越している個数
- その月に補填・発見が出た個数
前月と並べるときは、まず仕分けられなかった差を見て、そのあとで内訳の増減を見ます。4つのどれにも当たらない差は、数え間違いか、筆者が把握している4つ以外の動きによる可能性があります。
差がいくつなら問題、という基準の数字は、この記事では引きません。
この方法が当てはまらないケース
- 自社側で「先月末在庫+納品数-出荷数」を持っていない場合は、照合する相手がありません。先に数え方を決めるところからになります。
- この記事は数量の照合です。差の金額をどう評価し、会計上どう処理するかは扱っていません。
まとめ:今月末にやること
次の月末に試せる照合の手順です。最後の項目だけは、筆者の運用の例です。
- FBAの在庫元帳を、月末を含む期間で出す
- 自社の式の結果を、同じSKUで並べて、差が出たSKUを絞る
- 差を、紛失・発見・倉庫間移動中・顧客返品に仕分ける
- 仕分けられなかった差を、数え間違いか未把握の動きとして、別に記録する
- 差のSKU数、差の個数、状態別の内訳、仕分けられなかった差、持ち越し中の紛失の個数、補填・発見が出た個数を、前月と同じ形で記録する
- 紛失中の在庫を「ある」で持つか「ない」で持つかを、自社で決めておく(筆者は「ある」のまま持ち、補填などの処理が出た時点で「なし」にしている)
記録が前月と並べられるようになったら、最初に見るのは仕分けられなかった差です。ここが毎月残るなら、数え間違いか、4つ以外の動きが差を作っている可能性があります。