売れ始めたら、次は確定申告の壁が来る
ネットショップで最初の注文が入ると、次に必ずぶつかるのが「お金の記録」です。売上・手数料・仕入れ・送料をきちんと残していないと、翌年2〜3月の確定申告で慌てることになります。
EC運営に約20年関わってきて、売上は伸びているのに経理が追いつかず、申告前に数ヶ月分の明細をかき集める初心者を何度も見てきました。この記事では、ネットショップ初心者が会計ソフトを選ぶときの基準と、おすすめのソフトを紹介します。
ネットショップの会計がややこしい4つの理由
ネットショップの経理は、店頭で現金を受け取る商売より複雑です。つまずきやすいのは次の4点です。
- 手数料が差し引かれて入金される:モールや決済サービスは、売上から手数料を引いた金額を振り込みます。売上と手数料を分けて記録しないと、帳簿と入金額が合いません。モールごとにどんな費用がかかるかは、楽天・Amazon・自社サイトの費用の構造を比べた記事で整理しています。
- 売れた日と入金日がずれる:注文日・発送日・入金日がバラバラなので、「いつの売上か」を整理する必要があります。
- 送料・梱包資材などの細かい経費が多い:1件あたりは小さくても、年間で積み上げると大きな金額になります。
- 在庫が残る:仕入れた商品が売れ残った分は、その年の経費にそのまま入れられません。年末に在庫を数える「棚卸し」が必要です。数える前に決めておくことは、実在庫と帳簿在庫を分けて数える方法を書いた記事にまとめています。
これを手作業やExcelで続けるのは現実的ではありません。だからこそ、最初から会計ソフトに任せるのが一番の近道です。
会計ソフトを選ぶ3つの基準
ネットショップ初心者なら、次の3つを満たしているかで選べば失敗しません。
- 銀行口座・クレジットカード・決済サービスと自動連携できるか:明細を自動で取り込めれば、入力の手間が大きく減ります。自分が使うモールや決済サービスに対応しているかを必ず確認しましょう。
- 青色申告と電子申告(e-Tax)に対応しているか:令和8年分(2027年2〜3月に申告する分)で青色申告の65万円控除を受けるには、複式簿記で帳簿を付けたうえで、期限内にe-Taxで申告するか、優良な電子帳簿で保存することが条件です。令和9年分からは制度が改正され、e-Taxでの申告に加えて優良な電子帳簿の保存などの要件を満たすと、最大75万円の控除が受けられます。
- 無料で試せるか:画面の使いやすさは人によって違います。お金を払う前に、実際に触って確かめるのが一番です。
出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」。控除額や要件は改正されることがあるため、申告の前に国税庁のサイトで最新の内容を確認してください。
今回紹介する3社のソフトは、いずれもこの3点を満たしています。違いは「使い勝手」と「得意分野」です。
主要3ソフトの比較
個人事業主向けのクラウド会計ソフトは、マネーフォワード クラウド、freee会計、やよいの青色申告 オンラインの3つが定番です。
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| ソフト | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| マネーフォワード クラウド | 連携できる銀行・カード・サービスが多く、明細の自動取り込みに強い | 複数の口座や決済サービスを使う人 |
| freee会計 | 質問に答える形で入力でき、簿記の知識がなくても進めやすい | 簿記がまったく分からない人 |
| やよいの青色申告 オンライン | 会計ソフトの老舗で、電話やチャットのサポートが手厚い | 困ったときに人に聞きたい人 |
料金プランや連携サービスは変わることがあるため、申し込み前に各公式サイトで最新情報を確認してください。
結論:ネットショップ初心者にはマネーフォワード クラウド
ネットショップを始めたばかりの人には、マネーフォワード クラウドをおすすめします。理由は次の3つです。
- 入金と手数料の整理が楽になる:ネットショップは口座・カード・決済サービスと、お金の出入り口が多くなりがちです。連携先の多さは、そのまま手間の少なさにつながります。
- 帳簿の考え方が身につく:売上が伸びてくると、利益や経費の構造を自分で把握する必要が出てきます。最初から簿記の考え方に沿った画面に慣れておくと、後で困りません。
- 無料で始められる:まず登録して、自分の口座やカードがつながるか試せます。合わなければ、そこでやめれば大丈夫です。
ただし、簿記の用語にどうしても抵抗がある人はfreee会計、サポートを重視する人はやよいの青色申告 オンラインも良い選択です。
会計ソフトを始める前にやっておくこと
ソフトを入れる前に、次の3つを済ませておくと後がスムーズです。
- 開業届を出す:事業を始めたら、税務署に開業届を提出します。
- 青色申告の承認申請をする:青色申告で控除を受けるには、事前に「青色申告承認申請書」の提出が必要です。提出期限があるので、早めに出しておきましょう。
- 事業用の口座とカードを分ける:プライベートと混ざると、仕分けの手間が一気に増えます。事業専用の口座とカードを1つずつ用意して、会計ソフトに連携させるのがおすすめです。
提出期限や手続きの詳細は、国税庁のサイトや最寄りの税務署で確認してください。
まとめ:申告シーズン前に「記録する仕組み」を作っておこう
ネットショップの会計は、売上が小さいうちに仕組みを作っておくほど楽になります。確定申告の時期になってから慌てて明細を集めるより、今のうちに会計ソフトを入れて、自動で記録される状態にしておきましょう。
記録が自動で残るようになったら、次はその数字を使って、1個売れるごとに手元にいくら残るかを出してみてください。限界利益から広告費の上限まで出す手順を別の記事で書いています。
迷ったら、まずはマネーフォワード クラウドを無料で登録して、自分の口座やカードがつながるか試してみてください。