楽天やAmazonにいくつも商品を出していると、同じように仕入れて同じように出品したのに、1点だけ閲覧はあっても注文が入らない、ということが起きます。ほかの商品は動いているので理由が分からず、商材が悪いのだろうと考えて値下げを繰り返してしまう人も少なくありません。
ただ、商材を疑う前に見ておきたい場所が3つあります。価格と画像と説明文です。どの販路から始めるかを書いた記事でも触れましたが、どのモールでも売れない商品は、この3つのどこかに原因があることが多いからです。この記事では、どの数字を見れば3つのうちどこで止まっているかが分かるのか、そして直したあとに何を比べて判断するのかを説明します。
「どのモールでも売れない」は、商材が悪いとは限らない
同じ商品を複数のチャネルに出して、どこでも反応が薄いと、商品そのものに魅力がないのだと考えたくなります。けれども、そう決めてしまうのはまだ早いかもしれません。
売れ行きには循環があります。1つ2つ売れると検索順位が上がり、上がった分だけさらに売れやすくなるという循環です。ひとつのモールでこの循環に入った商品は、ほかのモールでも同じ循環に入る可能性が極めて高い、というのが筆者の実感です。
一方で、どのチャネルでも一度もこの循環に入れない商品もあります。そうした商品について、筆者は次のように見ています。
この場合、商材そのものが悪いとは限りません。価格、画像、説明文のどこかに原因があることが多いものです。チャネルを増やす前に、そこを直したほうが早く結果が出ます。
価格・画像・説明、まずどこから疑うか
3つの数字で、止まっている場所を探す
売れない商品は、お客さんが買うまでの途中のどこかで止まっています。検索結果や一覧に表示され、クリックされて商品ページが開かれ、そこで買うかどうかが決まる。この流れを、次の3つの数字で追います。
- 表示回数:検索結果や一覧に、その商品が何回表示されたか
- アクセス数:商品ページが何回開かれたか。アクセス数を表示回数で割った値がクリック率です
- 転換率:アクセスのうち、何%が購入に至ったか
管理画面で見られる項目の名前や、どこまで細かく見られるかはモールによって違います。表示回数が見られない場合は、見られる数字から始めてください。
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| 数字の状態 | 止まっている場所 | 先に疑うもの |
|---|---|---|
| 表示回数そのものが少ない | 検索での露出が少ない | 商品名と説明文のキーワード |
| 表示はあるのに、クリック率が低い | 一覧で選ばれていない | メイン画像と価格 |
| アクセスはあるのに、転換率が低い | ページを見て買うのをやめている | 価格、サブ画像、説明文 |
「低い」かどうかは、同じ店で売れている商品の数字と並べて見ます。ただし、ここに一律の基準はありません。数字を読むときは、アクセスの中身も合わせて見てください。どんなキーワードで検索して入ってきた人なのかによって、同じ転換率でも意味が変わるからです。
各数字は、そもそものアクセスの質、たとえばどのキーワードで入ってきているかによっても変わります。そのあたりも複合的に見ていくので、割合で表すことはできず、その都度変わります。ショップにより、モールにより、商品により、タイミングにより判断していかなければなりません。
1つずつ変えて、同じ長さの期間で比べる
止まっている場所の見当がついたら、そこを1つだけ直します。価格と画像と説明文を一度に全部変えてしまうと、数字が動いても、どれが効いたのかが分からないからです。手順は次のとおりです。
- 直す前の一定期間の、表示回数・アクセス数・転換率を記録する
- 価格・画像・説明文のうち、1つだけを変える
- 直す前と同じ長さの期間がたったら、同じ3つの数字を記録する
- 狙った数字が動いていなければ、元に戻すか、次の場所に進む
比べる期間の長さは、商品の売れる数によって変わります。注文の件数が少ないうちに判断すると、たまたま注文が入ったかどうかで結論が変わってしまうため、ある程度の件数が集まるまで待ちます。セールや季節の山がある時期は、前後の期間で条件がそろわないので、比べる時期から外してください。何日で判断するかも、商品や時期によって変わるため、決まった日数はありません。
画像が原因になっているサイン
表示はされているのにクリックされないなら、まずメイン画像を疑います。
クリック率が低いときは、一覧での見え方を比べる
一覧や検索結果でお客さんが最初に見るのは、メイン画像と価格と商品名です。表示回数はあるのにクリック率が低いなら、この段階で選ばれていません。検索結果で同じ商品や似た商品と並べてみて、次の点を確かめてください。
- メイン画像だけを見て、何の商品か、どんな用途かがすぐに伝わるか
- 明るさや背景、解像度で、隣に並ぶ商品より見劣りしていないか
- 大きさや使っている場面が伝わり、届いたときの姿を想像できるか
画像は、価格と違って直しても利益を削りません。そのうえ撮り直して差し替えれば完結するので、クリック率が変わったかどうかを、変える前と後で比べやすい要素です。画像を差し替えてもクリック率が変わらなければ、次は一覧に並んでいる価格を見ます。
この事例はたくさんあります。たくさんの商品が並ぶ検索結果ページでは、サムネイル画像の重要度はもっとも高いもののひとつです。このイメージを変えることで、今までスルーしていた層や刺さっていなかった層にも振り向いてもらい、アクセス数がガラッと変わる、ということはとても多いです。アクセス数に悩んでいたら、サムネイルを変えることを検討してください。
また、サムネイル以外の画像は、どちらかというと商品ページに入ってきた後のCVRを上げるための改善です。それ以外にも、問い合わせを減らす、満足度を上げるといった改善にもつながります。ただし、この具体的なデータはありません。
価格が原因になっているサイン
値下げは、いくら残るかを計算してから使う打ち手です。
値下げの前に、利益が残っているかを確認する
価格が原因のときは、数字に次のような形で表れます。
- アクセス数は売れている商品と変わらないのに、転換率だけが低い
- セールや割引の期間だけ転換率が上がり、通常価格に戻すと下がる
- 検索結果で近くに並ぶ同じ商品や似た商品と比べて、価格の差が大きい
3つ目は、感覚ではなく数字で押さえておきます。近くに並ぶ商品のうち安いほうからいくつかを選び、自分の価格との差を%で記録してください。直す前と後で、この差と転換率を一緒に見ると、値下げが効いたのかどうかを判断できます。
ただし、下げた分だけ利益は削られます。今の価格で1個あたりいくら残っているのかを先に計算しておかないと、転換率が上がっても、利益が残っているのかどうかが分からなくなります。1個あたりの利益の出し方と、そこからどこまで価格を下げられるかは、利益から広告費の上限を出す手順を書いた記事で説明しています。
説明文が原因になっているサイン
アクセスはあるのに買われないとき
アクセス数は十分にあり、価格の差も小さいのに転換率が低いなら、ページを開いた人が中身を読んで買うのをやめています。その場合は、説明文に次のような状態がないかを見ます。
- スペックや仕様が並んでいるだけで、使ったときにどう良いのかが書かれていない
- 誰に向けて書いているのかが分からず、競合の説明文と入れ替えても違和感がない
- 良いことしか書かれておらず、弱点や向かない人について触れていない
また、表示回数そのものが少ない場合も、説明文と商品名を見直します。検索されている言葉が入っていなければ、そもそも検索結果に出てこないからです。説明文の具体的な書き方は、商品説明文の書き方をまとめた記事で説明しています。直したあとは、ほかの2つと同じように、同じ長さの期間で転換率と表示回数を比べてください。
3つを直しても動かないときに考えること
商品そのものではなく、チャネルの相性を疑う
価格と画像と説明文をひととおり直しても、数字が動かない商品はあります。そのときは、同じ商品のチャネルごとの転換率を並べてみてください。別のチャネルでは転換率が高いなら、原因はページではなく、そのチャネルとの相性にある可能性が高くなります。反対に、どのチャネルでも転換率が低いままなら、商品そのものの需要や、値付けの水準から見直す必要があります。
この診断が効きにくいケース
メーカーが指定した画像や説明文しか使えない商品や、価格の差だけで比べられる定番の型番商品は、画像や説明文を直す余地がもともと小さい商品です。こうした商品では、ページを作り込むより先に、仕入れ値や扱う商品の構成を見直したほうが早いこともあります。
3つを直しても動かないなら、チャネルごとの転換率を並べます。売れているチャネルがあれば、ページよりチャネルとの相性の問題です。型番商品や、メーカー指定の画像しか使えない商品では、そもそも直す余地が小さくなります。
まとめ:価格・画像・説明を一つずつ確認する
売れない商品は、表示・クリック・購入のどこかで止まっています。
表示回数、アクセス数、転換率の3つを、売れている商品と並べれば、止まっている場所が分かります。そこを1つだけ直し、同じ長さの期間で同じ数字を比べて、動かなければ次へ進みます。見る数字と記録のしかたを決めておけば、担当者が変わっても同じ材料をもとに判断できます。
説明文や画像を直して売れ始める商品が出てきたら、次に気をつけたいのは在庫の配分です。売れ行きが変わったのに在庫の持ち方が前のままだと、持ちすぎているのに欠品するという状態に陥ります。その仕組みは在庫の持ちすぎと欠品が同時に起こる理由を書いた記事で説明しています。